わが国では銀行の預金金利も下がるいっぽうで、お金を預けたところでほとんど利息がつかない状況です。
そのため、長期的に資産運用を行うとなれば、効率的に行える方法を考えた方がよさそうです。
そこで、おすすめなのが積立投信。
投信積立とは何かご存じない方のために、初心者の方に積立投信をおすすめする理由や、積立投信のメリットやデメリット、どんな人に向いているのか…など、基礎的な知識をご紹介します。
目次
投資信託とは
そもそも投資信託とは何かをご説明しましょう。
投資信託は分かりやすく言うと、投資家からお金を集め運用のプロがさまざまな金融商品に投資し運用するものです。
それぞれの投資家の投資額によって運用で発生した利益が分配される仕組みです。
投資家から集められた資金を何に投資するのかはプロが判断することになっています。
投資信託の運用成果はマーケットの状況によって変わるため、運用がうまくいけば利益が得られますが、運用がうまくいかないと損をすることもあります。
つまり、投資信託は預貯金などとは違い、元本が保証されているものではないことを理解しておきましょう。
投資信託で利益が発生する仕組み
では、投資信託の利益はどのように発生し、どうすれば得られるのでしょうか?
投資信託のほとんどは証券会社を通じて購入しますが、分配金が発生すると証券口座に入金されます。
この分配金は現金で受け取ってもいいですし、再投資してもかまいません。
分配金を再投資に回せば複利効果が得られるので資産はどんどん増えていくため、非常に効率的です。
利益を少しでも増やしたいなら、この複利効果を得るためにも再投資するのがおすすめです。
さて、このような投資信託を保有することで得られる利益をインカムゲインと呼びます。
ただ投資信託を保有するだけで利益が得られるなんてありがたいですよね?
いっぽうで、投資信託の価格の変動により得られる利益のことをキャピタルゲインと呼びます。
ただ、キャピタルゲインは先にご説明したインカムゲインとは違い、売却しない限り確定しない利益です。
ただ保有しているだけでは確定しないので要注意です。
初心者には積立投信がおすすめ
投資信託を始めるに当たり、初心者の方におすすめなのは積立投信です。
積立投信とは毎月一定の額を積立て投資信託を購入する手法を言います。
では、なぜ積立投信が初心者におすすめなのかと言うと、少額から始められるので株式投資などの投資とは違い、始めやすいからです。
他に、どんなメリットがあるのか具体的にご紹介します。
積立投信のメリット
分散投資が可能
投資信託は株式や債券など、さまざまなものを組み合わせ運用を行っていますが、投資信託ならさらに分散投資を行うことが可能です。
さまざまな金融商品に投資するとなれば、一日中値動きをチェックする必要があるため、手間と時間がかかります。
ですが、積立投信ならただ積み立てているだけで分散投資しているのと同じことです。
自然に元本が積みあがっていく
積立投信なら毎月自動的に決まった金額を購入するため、時間の経過と共に口数が増えていくのがメリットです。
つまり、長期間続ければ続けるほど元本が積みあがっていくというわけですね。
積立投信を始めてすぐ損が出てしまうと「もうやめようかな…」と思ってしまいがちですが、それは逆で結果的に購入できる口数が増えるためあきらめずに続けていくことが大切です。
精神的ストレスがなくて済む
投資を行う上で精神的ストレスがかかるのは非常につらいですよね?
たとえば、どのタイミングで購入すればいいのか、いくらなら買っていいのか…など、自分で判断するのはかなりストレスがかかります。
また、そのために勉強したりと、かなりの時間が必要になってくるため、会社員など本業がある方にとってストレスになります。
ですが、積立投信なら自動的に購入してくれるため自分でタイミングなどを見計らう必要がありません。
つまり、ストレスなく投資が続けられるのがメリットです。
複利効果が望める
また、積立投信なら長期間続けることで複利効果が期待できるのもメリットです。
利息には2つの種類があり、単利と複利に分けられます。
単利とは元本につく利子のことで、複利は元本と利子に対してつく利子のことを言います。
たとえば、100万円の資金があるとしましょう。
これを年利5パーセントで運用するとなれば、年間の利子は5万円となります。
ですが、複利で運用するとなれば、1年目の利子は5万円ですが、翌年は105万円に対する利子となるため、5万2,500円となります。
つまり、単利でなく複利で運用することで毎年元本に利子が組み込まれていくので、長期間運用を続ければ続けるほど資産がどんどん増えていくのがメリットです。
ドルコスト法で購入できる
積立投信なら毎月決まった金額を決まった日に購入するため、購入のタイミングを見計らわなくていいのがメリットですが、ドルコスト平均法で購入できるのもこの上ないメリットです。
ドルコスト平均法を分かりやすくご説明すると、一定の金額で定期的に株式や投資信託、金などを購入していく手法のことです。
ドルコスト平均法で購入することで、価格が安い時にはたくさん購入でき、高い時には少なく買うことができるため、購入単価の平均を下げられるのがメリットです。
積立投信のデメリット
元本割れすることがある
積立投資は、あくまで投資なので、預金のように元本が保証されていません。
つまり、元本割れする可能性があるということ。
どうしても元本割れしたくないという方は預貯金や国債などを選ぶ方がいいでしょう。
ただ、元本割れする可能性があるいっぽうで、大きなリターンがあることも忘れないでおきましょう。
短期で大きなリターンは見込めない
積立投信の特徴は少しずつ投資信託を購入するものなので、大きなリターンを得るまでに時間がかかることを覚えておきましょう。
投資で得られる利益は投資額に比例するため、始めたばかりの頃はうまく運用が進んでいても、大きなリターンを得るのは難しいです。
逆に言うと、長期間積立投信を継続していれば上で書いたような福利効果が得られるので、どんどん利益が積みあがっていきます。
ドルコスト平均法は万能ではないことを知っておく
積立投信のメリットでご説明した、ドルコスト平均法は万能ではないことを知っておきましょう。
ドルコスト平均法はいったん設定してしまえば、自動的に投資信託を購入していきますが、そこにデメリットも存在します。
たとえば、上昇局面の相場で手元にまとまった資金があれば投資信託を安く購入できますが、ドルコスト平均法だと長期間一定額を購入するため相場が下がっている時はチャンスを逃しやすいです。
逆に相場が下がっていく局面だと最初は少しの含み損で済むのが、自動的に買い続けても相場の上昇がない限り損失は増えるいっぽうです。
積立投信に最適な投資信託
では、積立投信に最適な投資信託ってどのようなものがあるのでしょうか?
まず、積立投信におすすめできないのはテーマ型の投資信託でしょう。
たとえば、最近だとインバウンド関連の企業へ投資するものや、IT関連の投資信託…などというように〇〇関連と名付けられた投資信託なら短期的に値上がりを見込んでおり、基準価額がすぐに下がることが多いです。
長期的に積立投信を行うなら運用実績がよく積立を前提に設定されていたり、インデックス型のように日経平均と連動しているタイプの商品がおすすめです。
特に投信積立でおすすめなのがインデクスファンドの組み合わせ。
インデックスファンドとはインデックスに連動するよう作られた投資信託のことで、日経平均株価やTOPIXなどがあります。
このインデックスファンドはさまざまな金融商品の平均に連動した値動きを行うファンドなので、アクティブファンドのような高いリターンを狙うファンドと比較すると信託報酬が安めに設定されています。
インデックスファンドなら投資の対象が分かりやすく組み合わせやすいので、積立投信のメリットである分散投資、少額投資に最適だと言えます。
投資対象がシンプルで組み合わせやすいため、少額で分散投資できるという積立投資のメリットを存分に活かすことができます。
積立投信の申し込みの流れ
では、具体的に積立投信の申し込みの流れについてみてみましょう。
まず、積立投信の口座を開設する必要があります。
最近では手数料の安いネット証券を利用する方が増えているようですね。
さまざまなネット証券会社のホームページをチェックし、自分に最適なところで申し込みをしましょう。
会社によって手数料に幅があるので、できるだけ手数料の安いネット証券を選ぶことがポイントです。
また、サポート体制がしっかりしている会社なら、何か分からないこと、不安なことがあった時に安心できます。
しっかりと調べた上で口座開設を行いましょう。
ちなみに、投資信託を一度に購入する場合だと証券口座に入金しなければなりませんが、積立投信の場合はその必要はありません。
毎月指定した日に自動的に引き落とされるので、指定の銀行口座に残高さえあればいいわけです。
さらに、毎月一定額を引き落とせる上、ボーナス月など多めに追加で引き落とすことも可能です。
積立投信を始める際の注意点
ただ、注意したいのは株式とは違い、投資信託はリアルタイムで値動きせず1日ごとに価額が変動するということ。
つまり、ネットなどで記載されている投資信託の基準価額は前の日の価額のことで、自分が購入する時いくらだったのか分かりません。
なぜこういう仕組みかと言うと、同じ投資信託を保有している人たちの公平性を保つためです。
ただ、購入した後、いくらで何口購入できたのか確認できるので安心しましょう。
NISAやiDeCoを活用する
積立投信を始めるなら、口座を開設するだけでは不十分です。
その理由は積立投信で利益が出た時税金を支払わなければならないからです。
そのため、支払う税金を少しでも少なくするよう工夫が必要です。
わが国では運用益に対し20.315パーセント税金がかかることになっています。
そのため、利益が出ても非課税になる制度iDeCoやNISAを利用するといいでしょう。
また、積立NISAを利用すればさらに投信積立がオトクに始められます。
基準価額が下がっても積立を続ける
以前はITバブルやリーマンショックのような金融危機があり、大きな損失を出した人もいました。
そういった相場が急落する場面に出くわすと、「このまま下落し続け損をしてしまうのでは?」と不安になるかと思います。
そうなると、積立投信をやめてしまおうと思ってしまうでしょうが、せっかく今まで積み立てた資産を全てうるとなれば損失は確定です。
重要なのは相場が下がった時も冷静さを保ち積立投信を続けること。
相場が持ち直せば、コツコツ積み立ててきたことが報われるはずです。
積立投信が向いている人
積立投信についてメリットデメリットなどをご説明してきましたが、興味を持った方も多いでしょう。
ここではあなたが積立投信に向いているかチェックしてみましょう。
- ローリターンの投資を始めたい
- 年利3~5パーセント程度で運用したい
- 知識がないが投資にチャレンジしたい
- 投資に回す時間がない
- 生活に支障なく投資がしたい
- 手間や管理をせずに済む資産運用がしたい
- 毎月の余剰資金を投資に回したい
以上にあてはまる方は積立投信に向いている人だと言えます。
逆に、短期間で大きなリターンを望む方は積立投信は向いていないため、株式投資やFX投資など短期間でハイリターンが見込める投資を選ぶべきだと考えます。
最初は「積立投信なんて自分にもできるだろうか…」と不安かもしれませんが、やってみると意外と簡単で、特に何も考えなくても自動的にお金が貯まっていくため、だんだん楽しくなっていくはずです。
まとめ
資産運用について経験も知識もない上日ごろ投資について割ける時間がない方にとって、積立投信はリスクが分散できメリットの多い投資法です。
長期的に資産運用を継続するのにぴったりな積立投信ですが、大切なのは資産運用の目標を立てること。
そのためにも、いつまでにいくらくらい資産を作りたいかを明確にする必要があります。
しっかりと目標を立てていただき、積立投信で資産運用を始めてみてはいかがでしょうか!
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