知らないと損!配当所得と配当控除を使いこなして節税する方法

配当所得と配当控除を使いこなして、節税する方法があります。

しかも、一般のサラリーマンや主婦の方が得をする節税方法です!

配当所得は、所得税の対象となる所得の種類です。

配当控除は、所得税の税額控除です。

税額控除は、控除額がそのまま税金から差し引かれます。

ただし、確定申告書を提出しないと配当控除を適用できません。

知らないと損をする、配当控除についてご説明します。

配当所得とは?

配当所得とは、企業からの利益の配当、投資信託の収益の分配などの所得です。

(投資信託は、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除きます)

上場している会社の配当金は、配当所得に該当します。

配当所得には総合課税と分離課税の2種類の課税方法がある

配当所得には、総合課税と分離課税の2種類の課税方法があります。

一部を除き、確定申告をする際は、配当所得の課税方法を選択することになります。

総合課税

総合課税とは、各種所得の金額を合計して所得税額を計算ものです。

総合課税の対象の配当所得については、配当控除の適用を受けることができます。

(一部対象外あり)

分離課税

分離課税とは、上場株式等の配当等については、総合課税に代えて申告分離課税を選択することができます。

(一部例外あり)

分離課税の対象の配当所得については、配当控除を受けることができません。

配当控除とは?

配当控除とは、所得税の税額控除の一つです。

配当所得があるとき、一定の方法で計算した金額の税額控除を受けることができます。

配当所得の最大10%が、税額控除になります。

配当控除の金額は配当所得の対象の配当金などによって変わる

配当控除の金額は、配当所得の対象の配当金などによって変わります。

ポイントは、配当金を支払う会社が、日本国内の企業か、日本国外の企業かです。

配当控除を受けられるのは、日本国内にある企業からの配当

配当控除を受けられるのは、日本国内にある企業からの配当です。

配当控除の適用は、総合課税の適用を受けた配当所得に適用は限定されます。

配当控除の対象となる配当等

前提・・・日本国内に本店のある法人からのもの

  • 剰余金の配当
  • 利益の配当
  • 剰余金の分配
  • 金銭の分配
  • 証券投資信託の収益の分配

 

外国法人などからの配当は配当控除の適用外

外国法人などからの配当は、配当控除の適用外です。

配当控除の適用できない種類一覧

(1) 基金利息
(2) 私募公社債等運用投資信託等の収益の分配に係る配当等
(3) 国外私募公社債等運用投資信託等の配当等
(4) 外国株価指数連動型特定株式投資信託の収益の分配に係る配当等
(5) 特定外貨建等証券投資信託の収益の分配に係る配当等
(6) 適格機関投資家私募による投資信託から支払を受けるべき配当等
(7) 特定目的信託から支払を受けるべき配当等
(8) 特定目的会社から支払を受けるべき配当等
(9) 投資法人から支払を受けるべき配当等
(10) 確定申告不要制度を選択したもの
(11) 申告分離課税制度を選択したもの

配当控除は所得税額から直接控除する

配当控除は、所得税額から直接控除します。

配当控除の金額が10万円なら、10万円が所得税額から控除します。

10%の配当控除を適用できるのは、所得金額が1000万円以下の人

10%の配当控除を適用できるのは、所得金額が1000万円以下の人です。

10%の配当控除を適用する場合の主な条件

  1. 課税総所得金額が1000万円以下
  2. 余剰金の配当に係る配当所得

3 配当控除の計算式
次の方法により計算した金額です。(配当控除の金額は算出税額を限度とします。)

  1. (1) その年分の課税総所得金額等が1千万円以下の場合

 配当控除の額=イ+ロ

  1. イ 剰余金の配当等に係る配当所得(特定株式投資信託の収益の分配に係る配当所得を含みます。以下同じです。)の金額×10%
  2. ロ 証券投資信託の収益の分配金に係る配当所得(特定株式投資信託の収益の分配に係る配当所得を除きます。以下同じです。)の金額×5%

 (証券投資信託の収益の分配に係る配当所得のうち、特定外貨建等証券投資信託以外の外貨建等証券投資信託の収益の分配に係る配当所得の金額については、2.5%)

(注) 「課税総所得金額等」とは、課税総所得金額、土地等に係る課税事業所得等の金額(平成10年1月1日から平成32年(2020年)3月31日までの間は適用なし)、課税長期(短期)譲渡所得の金額、上場株式等に係る課税配当所得の金額、株式等に係る課税譲渡所得等の金額及び先物取引に係る課税雑所得等の金額の合計額をいいます(以下同じです)。

  1. (2) その年分の課税総所得金額等が1千万円を超え、かつ、課税総所得金額等から証券投資信託の収益の分配に係る配当所得の金額を差し引いた金額が1千万円以下の場合

 次のイからハの合計額

  1. イ 剰余金の配当等に係る配当所得の金額×10%
  2. ロ (証券投資信託の収益の分配に係る配当所得の金額のうち、課税総所得金額等から1千万円を差し引いた金額(A)に相当する部分の金額)×2.5%
  3. ハ 証券投資信託の収益の分配に係る剰余金の配当等に係る配当所得の金額のうち(A)を超える部分の金額×5%
  1. (注) 証券投資信託の収益の分配に係る配当所得のうちに特定外貨建等証券投資信託以外の外貨建等証券投資信託の収益の分配に係る配当所得がある場合には、その金額に係る控除率は、2.5%が1.25%、5%が2.5%となります。
  1. (3) 課税総所得金額等から証券投資信託の収益の分配に係る配当所得の金額を差し引いた金額が1千万円を超える場合((4)に該当する場合を除きます。)

 次のイからハの合計額

  1. イ (剰余金の配当等に係る配当所得の金額のうち、課税総所得金額等から1千万円と証券投資信託の収益の分配に係る配当所得の金額の合計額を差し引いた金額(A)に相当する部分の金額)×5%
  2. ロ 剰余金の配当等に係る配当所得のうち、(A)を超える部分の金額×10%
  3. ハ 証券投資信託の収益の分配に係る配当所得の金額×2.5%

 (証券投資信託の収益の分配に係る配当所得のうち、特定外貨建等証券投資信託以外の外貨建等証券投資信託の収益の分配に係る配当所得については、1.25%)

  1. (4) 課税総所得金額等から剰余金の配当等に係る配当所得の金額と証券投資信託の収益の分配に係る配当所得の金額の合計額を差し引いた金額が1千万円を超える場合

 次のイとロの合計額

  1. イ 剰余金の配当等に係る配当所得の金額×5%
  2. ロ 証券投資信託の収益の分配金に係る配当所得の金額×2.5%

 (証券投資信託の収益の分配に係る配当所得のうち、特定外貨建等証券投資信託以外の外貨建等証券投資信託の収益の分配に係る配当所得については、1.25%)

出典:国税庁 No.1250 配当所得があるとき(配当控除)

配当所得の総合課税と分離課税の違いは所得税率と配当控除の有無

配当所得の総合課税と分離課税の違いは、所得税率と、配当控除の有無です。

確定申告をする 確定申告をしない
(確定申告不要制度適用)
総合課税を選択 申告分離課税を選択
税率 累進税率
所得税 15.315% 地方税 5%
配当控除 あり なし なし
上場株式等の譲渡損失との損益通算 なし あり なし
扶養控除等の判定 合計所得金額に含まれる 合計所得金額に含まれる 合計所得金額に含まれない

出典:国税庁 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度

総合課税は、配当以外の収入によって税率が変動する

総合課税は、配当以外の収入によって税率が変動します。

総合課税には、給与所得、事業所得、年金の所得(雑所得)などがあります。

総合課税に該当する所得をすべて合算し、所得税率を計算します。

所得税の税率は、最低税率は5%で、最高税率は45%です。

総合課税の配当所得は配当控除が受けられる

総合課税の配当所得は、配当控除が受けられます。

配当控除は、最大10%税額控除されます。

所得税率によっては、税額控除の金額の方が多くなるので、還付金が発生します。

配当所得の分離課税の税率は一律20.315%

配当所得の分離課税の税率は、一律20.315%です。

(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)

総合課税は、他の所得と合算をして税率計算をしますが、分離課税の配当所得は、単独で計算をします。

分離課税の配当所得は、配当控除が適用できない

分離課税の配当所得は、配当控除が適用できません。

配当控除の適用を受ける場合には、総合課税を選択する必要があります。

上場株式等の配当等を申告する場合には、総合課税と分離課税を選択する必要がある

上場株式等を申告する場合には、総合課税と分離課税を選択する必要があります。

申告する上場株式等の配当等については、全額を選択することになります。

配当所得の確定申告不要制度を使用すれば確定申告が不要

配当所得、確定申告不要制度を利用すれば、確定申告は不要です。

確定申告書をする場合でも、配当所得を除いて申告することができます。

(一部例外あり)

源泉徴収をされている場合は確定申告が不要

証券会社等で、事前に源泉徴収をされている場合には、確定申告が不要となります。

主な確定申告不要制度の適用可能な配当所得

  1. 上場株式等の配当等及び投資法人からの金銭の分配の場合支払を受けるべき配当等の金額にかかわらず、確定申告を要しません。(大口株主等が受ける場合を除きます。)
  2. 上場株式等及び投資法人以外の配当等の場合一回に支払を受けるべき配当等の金額が、次により計算した金額以下である場合には、確定申告を要しません。

10万円 × 配当計算期間の月数(注) ÷ 12

確定申告不要制度の適用は配当金額や口座ごとに選択できる

確定申告不要制度の適用は、配当金額や口座ごとに選択できます。

源泉徴収口座以外の配当所得については、配当金額ごとに確定申告不要制度の適用が可能です。

源泉徴収選択口座内の配当所得については、口座ごとに選択する必要があります。

確定申告不要制度を選択した、配当所得の源泉徴収税額は、その年分の所得税額から差し引くことはできません。

配当所得は源泉徴収をしているので還付金が発生しやすい

配当所得は、源泉徴収をしているので還付金が発生しやすいです。

確定申告をすることによって、実際所得税率より多く納めていることがあるからです。

配当所得の源泉徴収は多く徴収されている

配当所得の源泉徴収は、多く徴収されています。

配当所得の源泉徴収金額は、法律で規定されています。

源泉徴収金額一律で、以下のように決まっています。

配当所得の源泉徴収金額

・上場株式等の場合・・・20.315%

(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)

・未公開株式の場合・・・20.42%

(所得税20%、復興特別所得税0.42%)

※復興特別所得税は、所得税に2.1%乗じた税率です。

源泉徴収された金額よりも実際の配当所得の税率は低くなることが多い

源泉徴収された金額よりも配当所得の税率は、低くなることが多いです。

分離課税の配当所得の所得税率は、源泉徴収される税率と同じ15%です。

しかし、総合課税の税率は、所得金額によって変動します。

課税される所得金額が330万円を超えないと、税率15%を超えることはありません。

・所得税の計算式

所得金額-所得控除額=課税対象金額

課税対象金額×所得税率-税額控除=所得税

※2037年までは所得税の金額2.1%乗じた金額が復興特別所得税として課されます。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

配当所得の総合課税・分離課税・申告不要制度の適用した場合の所得税額の計算例

配当所得の、総合課税・分離課税・申告不要制度の適用した場合の、所得税額の計算例はこちらになります。

・前提条件

給与所得・・・500万円

配当所得・・・50万円

配当所得の源泉徴収徴収金額・・・75,000円(所得税のみ)

所得控除額・・・150万円

※計算を簡略化するために復興特別所得税を加味してません。

総合課税での申告を選択した場合

(500万円+50万円)-150万円=400万円(総所得金額等)

400万円×20%-427,500円=372,500円(所得税額)

50万円×10%=50,000円(配当所得)

372,500円‐50,000円=322,500円

322,500円-75,000円=247,500円(所得税額)

分離課税での申告を選択した場合

500万円-150万円=350万円(総合課税の所得金額)

350万円×20%-427,500円=272,500円(総合課税の所得税額)

50万円×15%=75,000円(分離課税の税額)

272,500円+75,000円=347,500円

347,500-75,000=272,500円(所得税額)

 

申告不要制度の適用した場合

500万円-150万円=350万円(総合課税の所得金額)

350万円×20%-427,500円=272,500円(総合課税の所得税額)

272,500円(所得税額)

※申告不要制度の適用した場合、配当所得は計算から除外します。

配当所得を申告する場合には収入金額に注意すること

配当所得を申告する場合には、収入金額に注意が必要です。

特に、配偶者控除や扶養控除の対象になっている人は、収入や所得金額によっては控除の適用できなくなります。

配当所得の申告不要制度を適用する場合は所得金額から除外される

配当所得の申告不要制度を適用する場合は、所得金額から除外されます。

夫の扶養になっている妻は、所得金額が38万円を超えると配偶者控除がてきようできません。

しかし、所得金額が38万円超える場合であっても、申告不要制度の適用できる所得であれば、収入は無いものとして計算します。

配当所得の確定申告をすると収入があると判断される

配当所得の確定申告をすると、収入があると判断されます。

扶養となっている妻が、年間50万円の配当所得がある場合このようになります。

夫の扶養控除の対象になっている妻

配当所得50万円

 

・申告不要制度した場合

妻の所得金額はゼロの扱い⇒夫は配偶者控除の適用可能

 

・妻が配当所得を申告した場合

妻の所得金額は50万円⇒所得金額38万円を超えるため、配当控除の適用不可

配当所得の課税選択は1回のみで再選択はできない

配当所得の課税選択は1回のみで、再選択はできません。

分離課税を選択して確定申告をすると、その年分の配当所得は分離課税を選択したことになります。

申告不要制度が適用できる、配当所得の場合にも注意が必要です。

配当所得を含めてないで確定申告をすると、配当所得の申告不要制度の適用した扱いとなります。

(配当所得を申告しなかった申告をした扱い)

確定申告をする場合には、課税選択に注意してください。

ご参考になれば幸いです!

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