NISA制度を利用すれば、株式や投資信託の譲渡益が非課税になります。
株式・投資信託の譲渡益は、所得税の対象で、譲渡所得に該当します。
株式や投資信託の譲渡所得の税率は、利益の金額にかかわらず、一律20.315%です。
(所得税15%、住民税10%、復興特別所得税0.315%)
しかし、NISA制度を利用すればそれらの譲渡益が、すべて非課税です。
そんなお得なNISA制度について、元税務署職員が解説します。
NISAとは?
NISAは、NISA口座(非課税口座)で購入した、金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。
(NISAは、Nippon Individual Savings Accountの頭文字をとった通称です)
イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにした制度なので、NISAと呼ばれています。
NISAには3種類の制度が存在する
NISAには現在3種類存在がします。
- NISA(2014.1~)
- つみたてNISA(2018.1~)
- ジュニアNISA(2016~)
NISAと、つみたてNISAは大人が対象です。
ジュニアNISAは未成年者が対象です。
年間の非課税枠が大きいのは通常のNISA
年間の非課税枠が大きいのは、通常のNISAです。
投資可能期間は、2014年から2023年までの10年間です。
NISA口座で購入した金融商品(株式や投資信託)の利益については、非課税となります。
NISAは日本に住んでいる20歳以上の人なら利用できる制度
NISAは、日本に住んでいる20歳(※)以上の人なら利用できる制度となっています。
(※1月1日現在の年齢)
国外に住んでいる人は、NISAを使用することができません。
非課税対象は株式・投資信託の譲渡益と配当金・普通分配金
非課税対象は、株式・投資信託の譲渡益と配当金・普通分配金です。
NISA口座は1人1口座のみ
NISAを利用する口座は、1人1口座のみです。
つみたてNISAとの併用は、できません。
NISA口座を開設する金融機関は、1年単位で変更可能です。
毎年120万円までは非課税枠として設定されている
NISAは、毎年120万円までは非課税枠として、設定されています。
非課税枠の120万円は、毎年設定されているので、繰り越すことはできません。
非課税期間は最長5年間で、最大600万円までの投資額が非課税となります。
つみたてNISAは小額からの長期積立や分散投資を支援する非課税制度
つみたてNISAとは、少額からの長期積立や分散投資を支援するための非課税制度です。
投資可能期間は2018年から2037年までの20年間です。
つみたてNISAの対象商品は、投資信託のみです。
つみたてNISAは日本に住んでいる20歳以上の人なら利用できる制度
つみたてNISAは、日本に住んでいる20歳(※)以上の人が利用できる制度です。
(※1月1日現在の年齢)
非課税対象は投資信託の譲渡益と配当金・普通分配金
非課税対象は、投資信託の譲渡益と、配当金・普通分配金です。
つみたてNISA口座は1人1口座のみ
つみたてNISAを利用する口座は、1人1口座のみです。
NISAと併用は、できません。
つみたてNISA口座を開設する金融機関は、1年単位で変更可能です。
毎年40万円までは非課税枠として設定されている
つみたてNISAは、毎年40万円まで、非課税枠として設定されています。
非課税枠の40万円は、毎年設定されているので、繰り越すことはできません。
非課税期間は最長20年間で、最大800万円までの投資額が非課税となります。
つみたてNISAは購入できる商品が決まっている
つみたてNISAは、購入できる商品が決まっています。
投資信託の中でも、一部の金融商品に限定されています。
投資対象商品長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託
○例えば公募株式投資信託の場合、以下の要件をすべて満たすもの
・販売手数料はゼロ(ノーロード)
・信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
・顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
・信託契約期間が無期限または20年以上であること
・分配頻度が毎月でないこと
・ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
ジュニアNISAは未成年者を対象とした少額投資非課税制度
ジュニアNISAとは、未成年者を対象とした、少額投資非課税制度です。
投資可能期間は、2016年から2023年までの8年間です。
ジュニアNISAは日本に住んでいる未成年者が対象
ジュニアNISAは、日本に住んでいる未成年者(0歳~19歳)が対象です。
口座を開設する年の1月1日時点で、未成年者であれば、口座開設は可能です。
非課税対象は株式・投資信託の譲渡益と配当金・普通分配金
非課税対象は、株式・投資信託の譲渡益と配当金・普通分配金です。
ジュニアNISA口座は1人1口座のみ
ジュニアNISAは、1人1口座のみです。
ジュニアNISAの口座を開設した金融機関を変更することはできません。
金融機関を変更する場合には、ジュニアNISAの口座廃止の手続きが必要となります。
毎年80万円までは非課税枠として設定されている
NISAは毎年80万円までは非課税枠として設定されています。
非課税枠の80万円は毎年設定されているので、繰り越すことはできません。
非課税期間は、最長5年です。
口座管理は2親等以内の親族が行う
ジュニアNISAの名義は未成年者です。
口座の管理は、口座を開設者の2親等以内の親族が運用管理者となります。
2親等以内の親族
- 両親
- 祖父母
- 兄弟
18歳になるまで払出しはできない
ジュニアNISAは、口座を開設者が18歳になるまでは払出しをすることはできません。
(3月31日時点で18歳である年の前年12月31日まで)
払出しを行う場合には、ジュニアNISAの口座を廃止し、利益部分が課税対象となります。
投資可能期間が終了しても20歳になるまで非課税
投資可能期間が終了しても、20歳になるまでは非課税で保有することができます。
ジュニアNISAの投資可能期間は、2023年です。
2023年以降も20歳になるまでは、継続管理することができます。
ジュニアNISA制度の期間内に20歳になる場合にはNISAに移行可能
ジュニアNISA制度の期間内に20歳になる場合には、NISAに移行可能です。
20歳である年の1月1日に自動的にNISA口座が開設されます。
NISA口座を開設する際は、通常NISAとつみたてNISAから選択できます。
通常NISAを選択した場合、ジュニアNISAの未成年者口座内の金融商品については、通常NISA口座に移すことが可能です。
NISAは利益を出した分だけ節税できる制度
NISAは利益を出した分だけ、節税できる制度です。
通常NISAの場合、最大600万円分の株式を購入できます。
(1年間120万円×5年)
600万円で購入した株式を、2000万で売却した場合、利益は1400万円です。
2000万円(売却金額)-600万円(購入金額)=1400万円(譲渡益)
NISA以外であれば、1400万円の利益に対して、20.315%の税金支払うことになります。
1400万円(譲渡益)×20.315%(※)=2,844,100円(税金)
※ 所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%
NISA口座内の株式売却益であれば、2,844,100円分の税金が0円です。
つまり、2,844,100円を節税できることになります。
NISAを利用するなら金融機関でNISA口座を開設する
NISAを利用する場合、金融機関でNISA口座を開設する必要があります。
NISA口座は証券会社以外でも口座開設可能
NISA口座は、証券会社以外でも口座開設可能です。
NISA口座開設可能の金融機関一覧
- 証券会社
- 銀行
- 信託銀行
- 投信会社
- 郵便局
- 農協
- 信用金庫
- 信用組合
- 労働金庫
- 生命保険会社
※金融機関によって取り扱い商品は異なります
NISA口座を二重に解説すると無効となる
NISAを二重に口座開設した場合、無効となります。
無効口座で購入した金融商品は、一般口座に移管されます。
上場株式の売買をするなら証券会社で口座開設をする
上場株式を売買するなら、証券会社で口座開設をすることになります。
株式の売買は自分のタイミングで行うことができます。
投資信託は金融機関に運用を任せる方法
投資信託は、金融機関に運用を任せる方法です。
金融機関は、投資信託ごとに運用方法を設定し、投資を募集します。
投資家から資金を募集後、金融機関が資金を運用します。
金融機関の運用実績に基づき、投資した資金が還元されます。
投資には元本割れのリスクがある
投資には元本割れのリスクがあります。
元本割れとは、出資した元手のお金が、元手未満の金額になることです。
投資のリスク
- 株価変動リスク
- 信用リスク
- 流動性リスク
- 金利変動リスク
株価変動リスク
株価変動リスクとは、株式の価格が上下することです。
株価の変動は、景気・経済・世界情勢・企業業績など、さまざまな要因があります。
信用リスク(デフォルト・リスク)
信用リスクとは、国や企業が、財政難や経営不振などで、お金や利息をを返済する能力がなくなる可能性のことです。
会社が倒産しなくても、倒産する危険性があれば、それだけで株価に影響を及ぼします。
流動性リスク
流動性リスクとは、市場で売却が成立しない場合や、希望通りの価格で売却できない可能性のことです。
金利変動リスク
金利変動リスクとは、金利の変動によって、債券の市場価格が変動する可能性のことです。
金利が上昇すると、債券価格は下落します。
金利が低下すると、債券価格は上昇します。
為替変動リスク
為替変動リスクとは、異なる通貨の為替相場の変動で、金融商品の価値が変わる可能性のことです。
円高・ドル安、円安・ドル高も為替変動リスクの一つです。
NISAの投資信託でかかる費用は金融機関への手数料
NISAの投資信託にかかる必要は、金融機関への手数料です。
主な金融機関への手数料
- 購入手数料
- 運用管理手数料
- 売買委託手数料
- 解約手数料
購入手数料
購入手数料とは、金融機関に支払う手数料です。
購入手数料が無い、投資信託もあります。
運用管理手数料
運用管理手数料は、投資信託の保有額に応じて支払う手数料です。
投資信託を保有している間は、継続的に支払うことになります。
売買委託手数料
売買手数料とは、株式や投資信託を売買する場合に発生する費用です。
売買委託手数料は、金融機関によって異なります。
解約手数料
解約手数料とは、解約する際に金融機関へ支払う手数料です。
一部の投資信託や、中途解約時に発生します。
株式や投資信託の売買損益は1年ごとに判断する
株式や投資信託の売買損益は、1年ごとに判断します。
1年間の損益は1月1日から12月31日の期間を合計する
1年間の損益は、1月1日から12月31日の期間を合計します。
期間中の株式の売買は、すべて合算します。
損益の合算は株式の譲渡損益のみ
損益の合算は、株式の譲渡損益のみです。
譲渡損失が100万円あった場合、給与所得などの他の所得とは合算できません。
NISA口座内の損失は無かったものとみなす
NISA口座内の損失は、無かったものとみなします。
NISA口座内の売買は、非課税です。
譲渡益は非課税ですが、譲渡損も切り離して考えます。
NISAは税務署で直接手続きする必要は無い
NISAは、税務署で直接手続きする必要がありません。
税務署への手続きは、NISA口座を開設した金融機関が行います。
NISAの窓口は口座開設をした金融機関
NISAの窓口は、口座開設をした金融機関となります。
NISAの口座開設などは、金融機関で確認してください。
NISAについての確定申告は不要
NISAについてのの確定申告は不要です。
確定申告書提出する場合でも、NISA口座の売買を申告する必要はありません。
投資を始めるなら最初にNISA口座を開設するのがオススメ
投資を始めるなら、最初にNISA口座を開設するのがオススメです。
どんな投資であっても、リスクは存在します。
NISAも、NISA口座からの譲渡損失は、損失のままで終わってしまうデメリットもあります。
しかし、NISAの最大のメリットは、譲渡利益が非課税になることです。
自分で得た利益は、税金を差し引かれずに受け取りたいですよね。
NISAなら、譲渡益から税金が差し引かれる心配がありません!
投資限度額は決まっていますが、少額でしたら、限度額を気にする必要はありません。
投資を始めるなら、まずはNISAで挑戦してみましょう!
ご参考になれば幸いです!
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